春うららなある日のこと。ふと菜園のレイズドベッドに目をやると、ずらり並んだタマネギの葉の間に三角の形をした何か不思議なものが風になびいてフラフラと揺れているのが見えた。
むむっ? なんであろう。
タマネギの葉陰に突如として現れたトンガリくん。
昨年秋に植えたタマネギ、時間はかかるけどほったらかしでOKということだったので、3月頃に追肥をした以外はほとんど気にかけることもなく、ほほー、勝手に大きくなってくれてるっぽいなと遠目に眺めるくらいだった。
あとは5月の収穫を待つばかり……とほぼ完全放置しておいたのだが、いったいこのトンガリくんはなんだろうか。気がつけば、ひとつやふたつではなく、レイズドベッドの中央に1ダースほども群生している。まさか異星からやってきた怪しい侵略者たち? ある日三角がぱっくり割れて目にも恐ろしい化け物たちが出てくるのでは? あるいは可愛いお姫様が現れて我が家に富と財宝をもたらしてくれるのでは? それも12人以上も!?
なんてことはリアリストの私は考えない。何を考えたか。
これはもしかして、世に言うネギ坊主ってやつでは!?
問題は、ネギ坊主ってヤツが出てくるのは赤飯を炊いて祝うような慶事なのか、S野厄除け大使に行ってお祓いをしてもらわねばならないような忌むべき凶事なのか、まったくわからないということだ。なので、家に駆け込んでググってみた。
すると。ネギ坊主は「ネギの花のこと。球状の花を坊主頭に見立てていう」とのことで、どうもこれはネギ坊主に至る前、まだ修行中の小僧、つまりネギの花の蕾ということになる。
それって、もしかしてトウ立ち(花を咲かす花茎が伸びること)ってヤツではござらぬか? 家庭菜園家が誰しも恐れ、忌み嫌うトウ立ちってヤツでは!?
その通りである。調べてみると、タマネギのトウ立ちつうのは大変恐ろしいことらしい。
「こうなると、球が太らず硬い部分ができてしまいます」、「トウに栄養が奪われ味が落ちてしまいます」、「商品価値がなくなってしまいます」と、踏んだり蹴ったり、悲しいことだらけ。中には「トウ立ちしたら美味しくないので引き抜いて捨てます」と言い切っているものまである。
わわわ、気がつけばあちこちで絶賛トウ立ち中じゃないですか。
そ、そんな。我が家には現在50本以上ものタマネギが生育中だ。それを全部引き抜いて捨てるようなことになったら、一家離散、孫子の代まで祟られる大惨事である。
ここで私は大いに周章狼狽し、樹海に向かって車を走らせたくなる衝動を抑えるのに苦労したが、日頃のプチ瞑想の効果だろうか、「落ち着け、自分」と念じて現世にとどまった。
そうだ。冷静にならなければ。
よく見てみると、トウ立ちしているのはレイズドベッドの中央に植えられたタマネギの株のみだ。これはぜひ過去記事を読んでいただきたいのだが、タマネギの球根から育てたものである。これがほぼ15株あって、残りは苗、あるいは種から育てたタマネギだ。つまり出自が異なるということで、すべてのタマネギが球根由来の株と同じ運命を辿るとは限らないのである。
これが諸悪の根源、タマネギの球根だ。これはすぐに苗が大きくなっても不思議はないわ。
なんとなれば、トウ立ちの原因を調べたところ、「苗が大きいとトウ立ちする確率が高くなります。タマネギはある一定の大きさに育った状態で寒さに1、2ヶ月当たると花芽を分化させる性質があります」。つまり、春になる前にけっこう大きく育ってしまった株は花芽がつきやすいということだ。
そうなのだ。たしかに15球311円の球根と、100苗500円の苗では、球根からできる苗が大きいのは自明の理である。さすがに植える前からミニタマネギの様相を呈していただけあって、球根由来のタマネギは成長が早く(植えた時期も早かったんだけど)、春前には茎の直径もかなり大きくなっていた。まさかそれが凶事の前兆とはつゆ知らず。。。
こちらはタマネギの苗。この細くて白い部分がタマネギの実になる。
しかしなあ、そうするとタマネギの球根はすべて「苗が大きい」というタマネギのトウ立ち原因ランキングナンバーワンを生まれ持って背負っているわけだよね。そんなものを汚れない幼児やナウなヤングが出入りするホームセンターで堂々と販売するのはいかがなものか。
まー私もここで消費者センターに電話するほどのヒマも気力も持ち合わせていないのでまあいいか、ということにするけど、これからタマネギ農家を目指すという人がいれば、この体験を共有していただけると嬉しい。タマネギは球根から育てないようにしましょう。
さて、トウ立ちしてしまったタマネギを泣きながら引き抜いて捨てた。と思ったら大間違い。未練がましく思い切りの悪い私にそんなことできるわけないでしょ。(つづく)
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タマネギの葉陰に突如として現れたトンガリくん。
昨年秋に植えたタマネギ、時間はかかるけどほったらかしでOKということだったので、3月頃に追肥をした以外はほとんど気にかけることもなく、ほほー、勝手に大きくなってくれてるっぽいなと遠目に眺めるくらいだった。
あとは5月の収穫を待つばかり……とほぼ完全放置しておいたのだが、いったいこのトンガリくんはなんだろうか。気がつけば、ひとつやふたつではなく、レイズドベッドの中央に1ダースほども群生している。まさか異星からやってきた怪しい侵略者たち? ある日三角がぱっくり割れて目にも恐ろしい化け物たちが出てくるのでは? あるいは可愛いお姫様が現れて我が家に富と財宝をもたらしてくれるのでは? それも12人以上も!?
なんてことはリアリストの私は考えない。何を考えたか。
これはもしかして、世に言うネギ坊主ってやつでは!?
問題は、ネギ坊主ってヤツが出てくるのは赤飯を炊いて祝うような慶事なのか、S野厄除け大使に行ってお祓いをしてもらわねばならないような忌むべき凶事なのか、まったくわからないということだ。なので、家に駆け込んでググってみた。
すると。ネギ坊主は「ネギの花のこと。球状の花を坊主頭に見立てていう」とのことで、どうもこれはネギ坊主に至る前、まだ修行中の小僧、つまりネギの花の蕾ということになる。
それって、もしかしてトウ立ち(花を咲かす花茎が伸びること)ってヤツではござらぬか? 家庭菜園家が誰しも恐れ、忌み嫌うトウ立ちってヤツでは!?
その通りである。調べてみると、タマネギのトウ立ちつうのは大変恐ろしいことらしい。
「こうなると、球が太らず硬い部分ができてしまいます」、「トウに栄養が奪われ味が落ちてしまいます」、「商品価値がなくなってしまいます」と、踏んだり蹴ったり、悲しいことだらけ。中には「トウ立ちしたら美味しくないので引き抜いて捨てます」と言い切っているものまである。
わわわ、気がつけばあちこちで絶賛トウ立ち中じゃないですか。
そ、そんな。我が家には現在50本以上ものタマネギが生育中だ。それを全部引き抜いて捨てるようなことになったら、一家離散、孫子の代まで祟られる大惨事である。
ここで私は大いに周章狼狽し、樹海に向かって車を走らせたくなる衝動を抑えるのに苦労したが、日頃のプチ瞑想の効果だろうか、「落ち着け、自分」と念じて現世にとどまった。
そうだ。冷静にならなければ。
よく見てみると、トウ立ちしているのはレイズドベッドの中央に植えられたタマネギの株のみだ。これはぜひ過去記事を読んでいただきたいのだが、タマネギの球根から育てたものである。これがほぼ15株あって、残りは苗、あるいは種から育てたタマネギだ。つまり出自が異なるということで、すべてのタマネギが球根由来の株と同じ運命を辿るとは限らないのである。
これが諸悪の根源、タマネギの球根だ。これはすぐに苗が大きくなっても不思議はないわ。
なんとなれば、トウ立ちの原因を調べたところ、「苗が大きいとトウ立ちする確率が高くなります。タマネギはある一定の大きさに育った状態で寒さに1、2ヶ月当たると花芽を分化させる性質があります」。つまり、春になる前にけっこう大きく育ってしまった株は花芽がつきやすいということだ。
そうなのだ。たしかに15球311円の球根と、100苗500円の苗では、球根からできる苗が大きいのは自明の理である。さすがに植える前からミニタマネギの様相を呈していただけあって、球根由来のタマネギは成長が早く(植えた時期も早かったんだけど)、春前には茎の直径もかなり大きくなっていた。まさかそれが凶事の前兆とはつゆ知らず。。。
こちらはタマネギの苗。この細くて白い部分がタマネギの実になる。
しかしなあ、そうするとタマネギの球根はすべて「苗が大きい」というタマネギのトウ立ち原因ランキングナンバーワンを生まれ持って背負っているわけだよね。そんなものを汚れない幼児やナウなヤングが出入りするホームセンターで堂々と販売するのはいかがなものか。
まー私もここで消費者センターに電話するほどのヒマも気力も持ち合わせていないのでまあいいか、ということにするけど、これからタマネギ農家を目指すという人がいれば、この体験を共有していただけると嬉しい。タマネギは球根から育てないようにしましょう。
さて、トウ立ちしてしまったタマネギを泣きながら引き抜いて捨てた。と思ったら大間違い。未練がましく思い切りの悪い私にそんなことできるわけないでしょ。(つづく)
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2016/04/19(火) | 2015年秋冬菜園挑戦中 | トラックバック:(0) | コメント:(4)