種をまく人


 ひと口に家庭菜園家といっても、ホームセンターで買ってきた苗をポンとプランターに植えるだけの人と、種から育てる人まで、いろいろだ。中にはそれまでに育てた野菜から種を採取してまいてる人までいて、家庭菜園道も奥が深い。かくゆうエディブル・ガーデナーも、ついこの間まではほとんどすべての野菜をホームセンターで購入した苗から育てていた。まあ、コマツナとかホウレンソウみたいな葉物は別として、だけど。

 しかし、菜園活動を始めて今年で7年目ともなると、いつまでも人様の作った苗に頼っていては人間としての成長がないのではないか、と思うようになる。
 と思ったら大間違いで、そんなことはまったく思わない。ただ、ホームセンターで売られている品種とは別の、ちょっと前とは違うものが育てたい、食べてみたい、と思うようになるんだね。サカタのタネとかタキイなどの美麗なカタログをよく見るようになると、「およよ? なんだこのタイニーシュシュって!? たかがハクサイのくせにこんなファンシーでしゃらくさい名前がついてるなんて。これは私に育てなさいという神のお告げね!!」なんてことを妄想してしまうんだね。
 タイニーシュシュ、別名「サラダミニ白菜」。「甘くてサクサク、サラダにピッタリ」という説明がついている。結球するのを待たずに、草丈が20センチくらいになったらじゃんじゃん収穫して生食しちゃえるものらしい。もちろん、ホームセンターに行ってもこんなトリッキーな品種のハクサイ苗は売っていない。よって、食べてみたけりゃ自分で育ててみい、ということになる。

 んなわけで、先日サカタのタネのガーデンセンターに行ったとき、このタイニーシュシュの種も忘れずにゲットしてきたのだ。
 しかし、自分が野菜を種から育てるのがむっちゃくちゃヘタクソだということはしっかり忘れていた。どのくらいヘタクソかということを説明すると夜が明けてしまうので省略するが、今回がその典型的な例となっているので紹介いたそう。

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いざ、種まき開始! この黒いプラスチックの容器が種まきハウスよ。専門の用土を使ったわ。

 タイニーシュシュの種を種まきハウスにまいたのは9月2日のこと。ハクサイは通常9月半ばまでに種まきを終わらせていなくてはならない。ぐうたらなエディブル・ガーデナーとしては珍しく早手回しなスタートと言える。タイニーシュシュに賭ける熱い思いがじわ〜んと伝わってくるのではないだろうか。
 ハクサイなんて、直(じか)まきで畑にパーッと花咲か爺さんみたいにまいちまえばいいんじゃないか? と思う人もいるだろう。エディブル・ガーデナーもその口で、いい加減に軽く考えていたんだけど、教科書『有機・無能薬でおいしい野菜づくり』によると、「種はポリポットにまいて、本葉が5、6枚になったら畑に植え付ける」となっている。だから種まきハウスにまいたのだ。ポリポットじゃねーじゃん、と思う人もいるだろう。しかし、タイニーシュシュは小さいうちに食べてしまうので、ポリポットで大きく育てる必要はないのだ。

 種まき後2、3日でさっそく発芽したのにはびっくりした。しかも、一箇所に5、6粒まいた種がほとんど発芽しているではないか。ハクサイーーこいつは楽勝だ! と思った瞬間である。甘かった。

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さっそく発芽。真ん中に何も生えていない不毛地帯があるけど、これは種のまき忘れ。

 種まき後は用土を乾かしてはならぬと、毎日霧吹きでシュッシュした。タイニーシュッシュだも〜ん、なんぞと言いながら。
 そして一週間が経過したとき、順調に成長を続けているタイニーシュシュの双葉を眺めながらふと気づいた。これってハクサイだよね。こんなに間延びしちゃっていいのかすら!?
 あきらかに徒長しているのだった。

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だらりーんとカイワレダイコン化しているタイニーシュシュ。これではいかんわ。

 まるでもはやカイワレダイコン? ってくらいに双葉に至るまでの茎が伸びてしまっていて、まさにこういうのを徒長というのだろう。もちろん小池百合子がいるところもトチョウというのかもしれないが。
 なんでも、種をまくときに水分は必要だが、発芽後も水を与えすぎると徒長の原因になるらしい。また、光は上から全体に当たるようにしなくてはならない。我が家の場合は窓から差してくる陽光に頼っていたので、その方向目指してぐいぐい伸びていってしまったのだ。いくらなんでも、このひょろひょろ伸びた茎の先にハクサイがなるとは思えない。全部破棄して、新規まき直しとなった。
 ちなみに、「新規まき直し」とは「はじめに戻ってもう一度新たにやり直すこと」。こういう言葉があるということは、つまり、昔から種まきに失敗して、新たにまき直す人がいかに多かったか、ということだ。こういうチョンボをやらかすのが自分だけではなく、歴史的な人間の営みなのだと思うと、なんだか心強い気がする。

 てなことで、9月11日に新規まき直しての第2弾タイニーシュシュは、第1弾同様順調に成長。2週間ほどしていい感じに双葉が生え揃った頃、屋外デビューとなった。光が上から全体に当たる、となれば屋外で陽光に当てるのがいちばんだ。鳥や害虫にやられないよう、透明なプラスチックのカバーをかけて、さあ、自然の恵みをたっぷり吸収するがいい、と縁側に出してやった。

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第2弾の双葉軍団を日当たりの良い縁側に出す。大きくなって帰ってこい!

 ところがその日は台風一過の晴天に恵まれまくり、気温は33度くらいまで上昇した。夜、外出先から戻り、プラスチックのカバーを外してびっくり仰天。午前中に青々と輝いていた双葉はすっかり天日蒸しとなって、一本残らず茶色に変色してへたばっていた。うわわわわ。。。駐車場に停めた車に赤ん坊を残し、パチンコをやって戻ってきたバカ母になった気がした。第2弾タイニーシュシュもあえなく全滅したのだった。

 いよいよ三度目の正直だ。通常ならば9月の半ばに種まきを終わらせていなくてはならないハクサイなのだが、すでに9月末。もう後がない。それで9月27日に第3弾タイニーシュシュの種まきを行なったものの、驚愕の事態が発生した。1回目のタネまきが成功したかに見えた時点で、残ったタネの半分ほどを実家にあげてしまっていたので、第3弾をまこうにも十分な数の種がなかったのだ。そのときは「ハクサイなんて楽勝だ!」と甘く考えていたんだろうな。親にも「これならサルでもできるから」くらいのことを言って渡したような気がする。したら、このザマである。種まきハウスは18苗分のスペースがあるのだが、教科書通り一箇所に5、6粒まいていたら半分も埋まらない。

 うはあ、こりゃヤバイ。と近所のホームセンターに片っ端から電話を入れてみたが、ミニハクサイの種はあってもタイニーシュシュという名前のものはないという返答。ううう、わざわざ地の果て横浜のサカタのタネのガーデンセンターまで行った甲斐があるというものだ。そんじょそこらのホームセンターでは手に入らない、ありがたい希少種、それがタイニーシュシュだったのだ!

 ということで、残ったタイニーシュシュの種をありったけ種まきハウスにまき、サカタのタネのネットで新たにタイニーシュシュの種、お値段324円(プラス送料)を注文した。心情的にはやおらプライム会員になって明日にでも届けてほしいのだが、残念ながらサカタのタネにそのよーなシステムはなく、種が送られてくるのをジリジリしながら待つことに。そこまでタイニーシュシュに執着する自分が怖いが、すでに2度も失敗しているせいで、私の中では幻のタイニーシュシュになっている。簡単に手に入らない秘宝として神格化されている。ここまで頑張ってきたのに、ここで「ま、いっか。食べきりサイズのミニハクサイ黄味小町で」と妥協することはできないのだ。

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第3弾は4勝11敗3引き分けみたいな感じ。使えそうなのは4苗がせいぜいかなあ。

 そんなこんなで10月初旬のある日、第4弾タイニーシュシュの種まきが行なわれた。第3弾は残っていた種をかき集めて種まきハウスにまいたのだが、こんな時に限って発芽率が悪く、しかも昼夜の温度差で死亡する双葉も続出、まともに使えそうなものは片手でカウントできるほどしかない有様。この冬、鍋にハクサイを入れたかったら、是が非でも第4弾を成功させなくてはならないところまでいよいよ追い込まれてきた。

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旧レイズドベッドに直まき。株間15センチなのでぎうぎうになる予定(うまくいけばの話)。

 で、やっとこさサカタのタネから届いたタイニーシュシュの種をまくに至ったのだが、もう時間的・季節的に種まきハウスで悠長に苗を育てて畑に移植、というやり方はできない。畑に直まきし、防寒用に不織布でトンネルをかけるしかないのだ。珍しくタネをポットで育てて畑に移植するやり方で、上級者っぽく行こう! と意気込んでいたのに、結局いつも通りの直まきで、当たるも八卦みたいなアバウトなやり方に頼ることになってしまった。あーあ、家庭菜園何年やってもまるで進歩のないエディブル・ガーデナーなのだった。とほほ。

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さっそく不織布でカバー。前回ニンジン栽培に使ったものをそっくり流用。

 そんなこんなで10月8日、旧レイズドベッドにタイニーシュシュの種をまいた。不織布が種まきの遅れをカバーしてくれることを祈りつつ。そして、ついでに新レイズドベッドにはホウレンソウとコマツナとシュンギクの種もまいた。真ん中にすでに苗で植えたプチヴェールが育っているので、その左右にホウレンソウとコマツナを一列ずつ、中央部にシュンギクを少々、という布陣である。これにもおいおい不織布のトンネルをかける予定。

 IMG_5392.jpg IMG_5393.jpg

 はあ〜、今回の種まきの成否で我が家の冬のメニューが大きく変わりそうだ。いやいや、それどころか我が家の家計に大きな影響がありそうだ。この冬はハクサイを買わずに済むだろうか? もしかして、この冬は鍋をまったくやらないんじゃないだろうか、という不安が今や次第に膨らみつつある。


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2017/10/09(月) | 2017年秋冬菜園展開中 | トラックバック:(0) | コメント:(2)

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はじめ♪♪

『No title』

なーるほど。そういうことねぇ~~
育苗トレイって真冬は使うけど、
今の時期は普通に苗を売っているポット(黒とか青とかの)
あれに土を入れて種まきすれば、
ある程度の大きさまで放置でいいと思いますよ~
私が最近育苗トレイで種まきしないのは、
小さいうちにすぐに選別してポットに植え替える手間が面倒だからなのよね~
9月なら、保温カバーは要らないし虫よけのカバーのみでよいと思うわぁ~

2017/10/11(水) 13:47:50 | URL | [ 編集]

ginfoo

『Re: No title』

こんにちは、はじめ様!

あー、なんでもかんでも育苗トレイって使えばいいものじゃないのね!?
でも、普通のポット並べてやるよりコンパクトで楽チンだから、そっちに流れちゃうんですよ〜・

> 小さいうちにすぐに選別してポットに植え替える手間が面倒だからなのよね~

そうそう、そうなんですわよ。
なにしろちっこいから、結局どこかでポットに移さなきゃならなくて
結局二度手間になっちゃうんだよね。

つくづく苗を育てるためのフレキシビリティの欠如した人間だと思うわ自分。
と、種まきで自分を見つめ直す今日この頃です。。。

2017/10/12(木) 13:18:09 | URL | [ 編集]

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